大の栗好きといえば、この方! 作家の林 真理子さんが、とっておきの「栗を使ったお料理」を教えてくれました。

右/重よしの「栗きんとんいちじく」 左/中国飯店 六本木店の「手羽先と栗の醤油煮込み」
右/重よしの「栗きんとんいちじく」 左/中国飯店 六本木店の「手羽先と栗の醤油煮込み」

「夏の間は一生懸命ダイエットをやる。

かなり頑張って、このままいけそうかなあと思った時に秋が来て、栗が出る。ここで私の頑張りは終わってしまう。

新栗は茹でて、ふたつに割り、スプーンですくっただけでも充分においしい。が、これを使ったものの美味ときたら、もうダイエットも理性もすべてふっとぶのである。

『重よし』といえば、言わずとしれた日本料理の名店であるが、ここの秋限定のデザートは本当に素晴らしい。栗きんとんにいちじくがかかっているのであるが、栗の甘みといちじくの甘みの差とが、何ともいえない繊細な重なりとなる。日本人ゆえに楽しめる秋の醍醐味である。この組み合わせは他では見ない。『重よし』だけのものと、みなリスペクトして真似しないし真似られないのだろう。

とはいえ、中華のこってりした味にも栗はよく似合う。『中国飯店』で秋になると必ず注文するのは上海蟹とこの料理である。中華料理の時、栗はあまり甘さを感じない。ほっこりとした舌ざわりを楽しむような気がする。『中国飯店』の特製のソースで栗はさらにほくほくとなる」

■重よしの「栗きんとんいちじく」

名だたる文豪や食通たちが足繁く通う名店の、秋限定デザート。香り高い丹波の栗をふかして和三盆と合わせ、裏ごしした栗きんとんの上に、新鮮ないちじくを刻んでのせ、さらに裏ごししたふわふわの栗を散らす。いちじくのみずみずしさと食感が栗と調和した逸品。

東京都渋谷区神宮前6-35-3 コープオリンピア1F
TEL:03-3400-4044
営業時間/12:00~13:30、17:30~22:00
定休日/日、土・月の祝日
¥22,000(税抜)以上の夜のコースで提供
※11月半ばまで

■中国飯店 六本木店の「手羽先と栗の醤油煮込み」

甘辛いしょうゆベースに八角のアクセントを効かせた濃厚なソースに合うよう、あえて甘みを抑えた栗を使用。具材を一度揚げることで、栗はほっこり感が増し、手羽先はパリッと香ばしく。その食感も楽しい。

東京都港区西麻布1-1-5 オリエンタルビル1F
TEL:03-3478-3828
営業時間/11:30~14:00(L.O.)、17:00~3:00(L.O.)、日・祝~22:30(L.O.)
定休日/無休
¥2,800(2~3人前、税抜)

※12月末まで、年により変更あり
※この情報は2016年10月7日時点のものになります。詳細はお問い合わせください。

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この記事の執筆者
TEXT :
林 真理子さん 作家
2017.6.26 更新
1954年生まれ。山梨県出身。日本大学藝術学部文芸学科を卒業後、コピーライターを経て、1982年にエッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』を出版。1986年『最終便に間に合えば』『京都まで』により直木賞を受賞。現在は数々の文学賞の選考委員を務める。『我らがパラダイス』(毎日新聞)、『夜ふけのなわとび』(週刊文春)、『美女入門』(an・an)、『マリコのゲストコレクション』(週刊朝日)ほか、多数連載中。 好きなもの:初夏、お寿司、クラシック、オペラのアリア「私のお父さん」、ティファニー ブルー、誠実、咲きかけの淡いピンクのバラ、高知県
公式サイト:林 真理子ブログ あれもこれも日記
クレジット :
撮影/尾嶝 太  文/林 真理子