会食やレセプションパーティー、結婚式やホームパーティーの手土産にいたるまで、プレシャスな女性のライフスタイルに欠かせないものとなっている、シャンパン(シャンパーニュ)。

 
 

シャンパンというとフランス・シャンパーニュ地方のスパークリングワインですが……そのトラディショナルな製法や、使用されるぶどう品種の特徴までは知らない、という人は多いのではないでしょうか。乾杯の席で難しい話は無粋だとしても、基本的な知識を大人の女のたしなみとして身につけておけば、会話が弾むこと請け合いです。より深く、おいしく、シャンパンの世界を楽しむことができる「基礎知識」を、まとめてみました。

本連載「ワイン入門」のシャンパン編では、ワインエキスパートの瀬川あずささんが、シャンパンの楽しみを広げる基礎知識から、覚えておくと通なキーワードまで、シャンパンを通じてエレガントなふるまいが身につく心得をレクチャー。さまざまなシーンで役立つシャンパンの知識を身につけて、"おいしい"だけではない、上質な時間を楽しみましょう。

知っておきたいシャンパンの基本知識3つ

ご存知の方も多いと思いますが、まずはシャンパンの定義を3つ、おさらいしましょう。

■定義1:フランス・シャンパーニュ地方でつくられていること

 
 

泡立っているワインをすべてスパークリングワインと呼び、その中のひとつがシャンパンです。スパークリングワインはイタリアではスプマンテともいわれますが、つくられた国と地域によってその称呼も変わります。フランスの北の方のシャンパーニュ地方でつくられるスパークリングワインは「シャンパン(シャンパーニュ)」と呼ばれ、硬質でエレガント、華やかさのなかに緊張感がある味わいが、多くの人に愛されています。

■定義2:決められたぶどう品種でつくられていること

基本は3種類のぶどうでつくられており、ピノ・ノワール、ムニエ、シャルドネの3つ。それ以外に古代品種(昔からの品種)などがありますが、基本はその3種類が使われます。


ピノ・ノワール、ムニエ、シャルドネ
ピノ・ノワール、ムニエ、シャルドネ

 

ここで、覚えておきたい豆知識をひとつ。「ブラン・ド・ブラン」「ブラン・ド・ノワール」なんて言葉を聞いたことはありませんか?

ブラン・ド・ブランはシャルドネ100%でつくられているワインで、ブラン・ド・ノワールはピノ・ノワールやムニエの黒ぶどう100%でつくられているワイン。

白ワインと赤ワインを想像するとわかりやすいと思いますが、シャルドネ100%のブラン・ド・ブランは、すっきりさわやか「爽快なスタイル」といわれ、黒ぶどうでつくられるブラン・ド・ノワールは「骨格がありボリューム感がある」もので、色調も濃くなるのが特徴です。

「ブラン・ド・ブラン」はさっぱりさわやか、「ブラン・ド・ノワール」はコクがある、と覚えておくと、あとで役立ちます。

醸造アプローチや熟成期間によっても異なるので一概には言えませんが、少なくとも若いシャンパンにおいては「ブラン・ド・ブラン=爽やか」、「ブラン・ド・ノワール=ふくよか」という認識でよいと思います。

コースのメインの肉料理にシャンパンを合わせる際には、コクのあるブラン・ド・ノワールを選んだり、お店の人に「ブラン・ド・ブランでなにかおすすめありますか?」などとうかがってみるのも、いいと思います。

■定義3:トラディショナル製法でつくられていること

シャンパンの製造方法は、トラディショナル方式(=瓶内二次発酵)と決められています。

シャンパンを保管している蔵
シャンパンを保管している蔵

まずは樽やタンクなどでワインをつくります(一次発酵)。シャンパンの場合、その一次発酵させたワインを各ブランドのイメージに合うようにブレンドして、瓶に詰めます。その瓶の中で、瓶内二次発酵をさせることによって、アルコールと炭酸ガスが発生し、発泡性ワインになります。

発酵後も熟成、澱引きなど時間をかけて行うので、最も手間と時間のかかるといわれる製造方法であり、「シャンパン」を名乗るスパークリングワインは必ずこのトラディショナル方式という製造工程で造られます。

 

実はこのシャンパンの製造方法の発展において欠かせない人物がひとり。ヴーヴ・クリコの経営者、マダム・クリコです。

【参照記事:ヴーヴ・クリコ」の6つの秘密と、キャリアウーマンの先駆けマダム・クリコ】

19世紀初めのシャンパンは澱が浮く、濁ったものでしたが、品質を追求するマダム・クリコが、この澱を取り除くためにルミュアージュというボトルを動かす作業や、ピュピトールという台を生み出し、美しく透明なシャンパンを確立しました。

シャンパン界では、意外にも女性が多く活躍しているので、今後はそんなシャンパンの歴史と女性の活躍についてもお話していきたいと思います。

まずは今回お伝えしたシャンパンの定義3つを知ることで、シャンパンをもっと身近に、その奥深い味わいを楽しんでみてくださいね。

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次回は、「シャンパンのヴィンテージ」をご紹介します。

この記事の執筆者
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、ワインスクール「レコール・デュ・ヴァン」新宿校主幹講師、フードアナリスト、(株)食レコ代表取締役。ウェブサイトを中心とした複数のメディアで飲食店やライフスタイルにまつわる情報を発信。ワインは、堅苦しいものではなく、生活を豊かにしてくれるエッセンスだと捉えている。執筆の傍ら、ワインイベントを主催するなど、食やワイン、ファッションを通して豊かなライフスタイルを発信している。 瀬川あずさの動画レッスン「ワインで女子力アップ講座」https://lesson.arekore.co/food/detail02.html 瀬川あずさの動画レッスン「人生を豊かにするワイン道講座~奥深いワインの世界へ~」https://lesson.arekore.co/food/detail.html
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写真提供/shutterstock 構成/渋谷香菜子