9th , Mar. 2017

ディオール
ブランドヒストリー

Dior(ディオール)|革命的な「ニュールック」で、世界のレディを虜に【ブランドヒストリーvol.1】

ラグジュアリーブランドが生まれた背景、創業時のエピソードや発展の転機を振り返りながら、「そのブランドが愛される理由」を紐解く連載『ブランドヒストリー』。記念すべき第1回は、戦後の女性に喜びと輝きを与えたクリスチャン・ディオールの歴史からクローズアップします。

 

創業者:クリスチャン・ディオール
創業地:フランス・パリ
創業年:1946年。翌1947年にデビューコレクションを発表。2017年はデビューコレクション発表から70周年を迎える。

パリ・モンテーニュ通り30番地にある、ディオールのブティック創業当時の、パリ・モンテーニュ通り30番地にあるブティック/©Dior All rights reserved



ディオールに訪れた運命の出会いと決意


創業者のクリスチャン・ディオールクリスチャン・ディオール


創業当時のエピソード

1946年4月18日、41歳のクリスチャン・ディオールは、『繊維王』と呼ばれた実業家・マルセル・ブサックとの面会を翌日に控えていました。アーティスティック ディレクターのポジションを提示されていた、『フィリップ エ ガストン』というメゾンへの入社を打診されていたものの、彼はその答えに躊躇していたのです。

その日の夜、フォーブール サント ノーレ通りの英国大使館前を歩いていたディオールは、地面の上に落ちていたあるものに躓いて転びそうになります。

ディオールがつまずいたものは、ひとつの“星”でした。この『導きの明星』が進むべき道を示したと感じたディオールは、この時、もはや自分の運命から逃れられないことを知るのです。翌日、彼はマルセル・ブサックに、『フィリップ エ ガストン』には移らないこと、そして、ディオール自身の名で「すべてが新しく、心のあり方や従業員から物件や場所までも一新した」新たな店を設立する用意があると告げました。

それ以来、『幸運の星』はディオールというブランドの大切なモチーフのひとつとして、世界中の路面店(日本では銀座店や表参道店)の屋上にも飾られています。

 

ディオールが拾った、『幸運の星』クリスチャン・ディオールが拾った星/©Part of Christian Dior Museum in Granville


 

ブランドの転機

1947年2月12日、当時42歳のクリスチャン・ディオールはデビューコレクションを発表します。そこで発表されたのが、かの有名な『ニュールック』でした。

バージャケットの締めつけられたウエスト、非常にセクシーな胸元、ボリュームのあるスカートによって描き出される、これまでにないシルエット…。これを見た雑誌『ハーパーズ バザー』の編集長カーメル スノーが、「クリスチャン、あなたのドレスはまったくニュールックだわ!」と叫んだことから、この名がつきました。

『ニュールック』の誕生は、第二次大戦後の重々しく陰鬱なムードをわずか2年で払拭し、女性たちに軽やかさ、そして人々を喜ばせる術を再び与えました。この革命的な『ニュールック』によって、クリスチャン ディオールはファッション史の新たな1ページを開くこととなります。誕生から70年を経てもなお、ニュールックによる革命とそのスピリットは、ディオールという唯一無二のメゾンをインスパイアし続けています。

ディオールのニュールックニュールック/©Association Willy Maywald/ADAGP, Paris 2017



数々の「アイコン」が生まれ、セレブリティを魅了!


ブランドのアイコン・定番アイテム

 ディオールのバージャケットバージャケット/©Laziz Hamani


レディ ディオールレディ ディオール/©Dior


ブランドを愛用するセレブリティとエピソード

『レディ ディオール』は、1995年9月に発表されたディオールを代表するバッグ。パリで開催されたセザンヌ展を訪問したイギリスの故ダイアナ妃へ、当時のフランス、シラク大統領夫人から贈られたのもこのバッグでした。ダイアナ妃はこのディオールの新作バッグをすぐに気に入り、同シリーズのバッグをさまざまなバージョンで注文したほど。

1995年11月には、バーミンガムの養護施設を訪問したダイアナ妃が、このバッグを手に子どもを抱いた写真が海外のマスメディアに掲載されました。これが、『レディ ディオール」とダイアナ妃の物語の始まりとなります。

数週間後、ダイアナ妃はアルゼンチンへの公式訪問の際にも、『レディ ディオール』を手に公用機から降り立ちました。それ以後、『レディ ディオール』はメディアからもっとも注目される女性−−ダイアナ妃の愛用するバッグとして有名になり、世界中の女性たちの憧れの的となりました。もとは別の名前がつけらていましたが、 1996年にはダイアナ妃への敬意を込めて、彼女の了承のもとに『レディ ディオール』と改名されたのです。

レディ ディオールを持つダイアナ妃レディ ディオールを持つダイアナ妃/© Abaca Press


パッドの入った独特のステッチパターン、『カナージュ』は、クリスチャン・ディオールが1947年に自身の初コレクションに顧客達を迎えるために使用した、ナポレオン三世の椅子の模様からインスピレーションを得たもの。

また、象徴的なモチーフとなっているのは、『D.I.O.R』の切り文字チャーム。ムッシュ ディオールの友人でもあった、芸術家のジャン・コクトーが、「DIORとは、フランス語の神(Dieu)、黄金(Or)からなる魔法の名前だ」と語った話は有名です。

『レディ ディオール』の広告キャンペーンには、1996年のカーラ・ブルーニに始まり、ダイアン・クルーガーやモニカ・ベルッチなど、世界中のセレブリティたちが起用されてきました。ピーター・リンドバーグが撮影した2017年クルーズ広告キャンペーンには、マリオン・コティヤールが登場しています。

マリオン・コティヤールが登場する、ディオールの2017年クルーズ広告キャンペーンマリオン・コティヤールが登場する、2017年クルーズ広告キャンペーン/©Dior



新アーティスティック ディレクターの就任で、ディオールは新たな世界へ!


ブランドの現アーティスティック ディレクター

2017年春夏コレクションより、アーティスティック ディレクターに、マリア・グラツィア・キウリが就任。メゾン創業以来初となる、女性アーティスティック ディレクターが誕生しました。

「女性らしさの表現にこれほどまでに強いこだわりを持つメゾンの創作活動を指揮する最初の女性となるのは、大きな責任です。メゾンの極めて豊かな遺産は現代のモードの確固たるインスピレーションソースであり、独自の解釈でそのビジョンを表現することを嬉しく思っています」と語るマリア・グラツィア・キウリ。

マリア・グラツィア・キウリによる、ディオールの2017年春夏コレクション2017年春夏コレクション


官能的であると同時に詩情にあふれ、エレガントで洗練され、モダンでありながら過去を重んじるというマリア・グラツィア・キウリが抱く女性のビジョンは、創業者・ムッシュ ディオールが作りあげた女性のビジョンとも共鳴しています。

彼女がもつクチュールの専門知識と職人技への大いなる情熱が、アトリエの卓越した専門技術によって表現される新生ディオールに、今後も期待が高まります。

 

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構成/難波寛彦(LIVErary.tokyo)

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