16th , Mar. 2017

エルメス
「エルメスの手しごと展」“アトリエがやってきた”

エルメスの手しごと展、注目を集めたポイントまとめ【後編】

表参道ヒルズ スペース オーにて2017年3月に開催された「エルメスの手しごと展」“アトリエがやってきた”。多くの観客の注目を集めていたポイントを改めてご紹介します。「見逃した!」という方は、フォトギャラリーにも写真を充実させたので、じっくりご覧ください。

前の記事→エルメスの手しごと展、注目を集めたポイントまとめ【前編】

 

ひとつずつ色をのせる“リヨン式プリント”、「シルクスクリーンプリント職人」


「エルメスの手しごと展」“アトリエがやってきた”シルクスクリーン職人

前編でご紹介した、シルクスクリーン製版職人が色ごとに分けた版にしたがって、シルクスクリーンプリントを施してゆくプリント職人。エルメスはカレ(スカーフ)をシルク生地そのものから制作しており、90cm四方のカレ1枚分のシルク生地をつくるのに、約300個の繭が使われるそうです。

動画はこちら。



「時計職人」はスイスのアトリエから来日


「エルメスの手しごと展」“アトリエがやってきた”時計職人

緻密な部品を組み立て、エルメスの美しい時計をつくる「時計職人」。彼らはフランスではなく、スイスにアトリエがあるそう。ひとつの腕時計の組み立てはシンプルなもので2、3時間かかるとか。エルメスの時計の魅力は?と聞くと「時を刻むだけではなく、独創的でエレガントなアイデアが盛り込まれている」と教えてくれました。

「エルメスの手しごと展」“アトリエがやってきた”時計展示

たとえば、この真ん中の時計、アルソー タンシュスポンデュ。フェイスの右上のボタンを押すと、時計の針が止まります。

「楽しい時間が過ぎるのは早いもの。時間が止まればいいのに…」

実際には時計は裏側できちんと動いていて、もう一度ボタンを押すと針が正しい時刻に動くのですが、そんな切ない願いを機能として盛り込んだのでしょうか。遊び心があり、かつロマンチックです。

 

1本の糸で縫い上げる「ネクタイ職人」


「エルメスの手しごと展」“アトリエがやってきた”ネクタイ職人

エルメスのネクタイは、表地と裏地のほかに、内側にウールと綿の芯地が張られています。職人は、ふんわりとボリュームが出るように布地を折りたたみ、さらにしなやかさを保つため、1本の糸で縫い上げます。これらはすべて、手しごとで行われているのです。

 

革づくりから始まる、肌に吸いつくような手袋


「エルメスの手しごと展」“アトリエがやってきた”手袋職人

エルメスのグローブは薄くやわらかで、まるで手と同一化しているかのようなフィット感があります。その秘密は、手袋職人による革の下ごしらえともいえる工程にありました。

適当な大きさにカットされた革を、手でじっくりと引き伸ばしていきます。厚さにムラがないよう、何度も繰り返し、一番いい状態の場所を手袋にすべくカット。

「エルメスの手しごと展」“アトリエがやってきた”手袋職人

そして縫製担当の職人からあがってきた手袋を、手の形をした高温の金属にかぶせ、はめたときにきつい部分がないように充分にストレッチ。最後の仕上げまでしっかり確認されています。

 

カレの美しさを守る「縁かがり職人」


「エルメスの手しごと展」“アトリエがやってきた”縁かがり職人

エルメスのアイコンアイテム、カレ(スカーフ)を手に取ると、縁が折り畳みではなく、丸まっていることに気づきます。このフランス特有の巻き縫い「ルロタージュ」を施しているのが、縁かがり職人。そろった縫い目はもちろんのこと、指先の力を一定にしてまったく同じ幅で縁を巻き上げるのは、とても難しい工程。習ってから、できるようになるまで1年はかかるそうです。そこから、研鑽を重ね、熟練した職人が90cm四方のカレ1枚を仕上げるのにかかる時間が45~50分ほど。厚みを出さず、ピシッと角をつけるのがいちばん難しいんだとか。

 

何度もテストを重ねて理想の色を出す「磁器絵付け職人」


「エルメスの手しごと展」“アトリエがやってきた”磁器絵付け職人

手描きされたデザインを、磁器に落とし込む役割を担う、磁器絵付け職人。繊細なデザインを見て、どういう順番で焼くか考えるところから始まります。色をつけて焼いてはまた色をつけ…を繰り返し、右奥の花瓶のような大きなものだと、制作期間は2か月ほど。

「エルメスの手しごと展」“アトリエがやってきた”磁器絵付け職人

焼き物は温度や釉によって、色の出方がまったく違うもの。エルメスの磁器では、釉の色をそのまま単色で使用することはほとんどなく、混ぜ合わせては焼いてテストを繰り返し、ようやく配分が決まるんだとか。細かな絵付け作業だけでなく、その前段階でも大変な手間がかかっているのです。

これらのほか、会場ではVRを利用し、実際にサンルイ・クリスタル工房見学をしているかのような体験も可能に。クリスタル職人たちがどんなところで、どのように働いているのかがわかる、臨場感あふれる展示となっていました。

こんな稀有で見ごたえのある催しが、今回なぜ日本で開催されたのでしょうか?

その疑問は、エルメスジャポン社長・有賀昌男氏とともに登壇したエルメス本国のエグゼクティブ・バイスプレジデント、ギョーム・ドゥ・セーヌ氏の言葉で腑に落ちました。

エルメスジャポン社長・有賀昌男氏とエルメス本国のエグゼクティブバイス・バイスプレジデント、ギョーム・ドゥ・セーヌ氏

「日本は、職人というものに対し、理解と尊敬がある国だから」

ある程度の規模のマーケットが存在する国を、ただ順番に巡るのではなく、日本は職人技を見せる価値のある国として捉えられていたのです。

近年、特に職人やものづくりへのリスペクトが高まる風潮のなか、ベストなタイミングで行われたこのイベント。2017年10月には名古屋、博多での開催が予定されています。

 

■エルメスの手しごと展“アトリエがやってきた”
表参道ヒルズ 本館B3F スペース オー
期間/2017年3月9日(木)~19日(日) ※終了
入場/無料
www.maisonhermes.jp
住所/東京都渋谷区神宮前4-12-10


 

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PhotoGallery

構成/安念美和子(LIVErary.tokyo)

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