22nd , Mar. 2017

インタビュー

女性リーダーがもつべき『勇気』とは?【岸見一郎さんインタビュー1】

もしも職場で昇進したり、責任ある役職を任されることになったら? やりがいを感じる反面、「組織の中でどう振る舞えばいいのか」「多忙で時間にゆとりがなくても、心豊かに暮らしたい」といった葛藤も……。そんな女性リーダーの気持ちを、『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)の著者である岸見一郎さんにぶつけてみました。

『嫌われる勇気』は、フロイト、ユングと並ぶ心理学界の三大巨頭のひとり、アルフレッド・アドラーの教えを解説したもの。その教えは、根本から生き方の見直しを迫られるため、人生の劇薬とも言われます。厳しい真理の中にある、確かな希望。幸せに働き、より充実した人生を送るヒントが、きっと見つかるはず。

 

第1回 リーダーの仕事は「自分がやる」ことではない


岸見一郎さんメイン

――― 『嫌われる勇気』と『幸せになる勇気』は2冊合わせて、ついに国内での売り上げが200万部を突破されたとか。多くのビジネスパーソンに支持されるアドラー心理学を、日常の仕事でも活かせるようになれたらと思います。まず、リーダーになったら意識すべきことはなんでしょうか。

「役割が違うだけなのだ」と思ってください。もちろん、取るべき責任の量は違います。部下の失敗も自分が抱えなくてはいけない。でも、人間としては管理職も部下も対等だと意識することが大事です。昇進すると、なんだか偉くなったと勘違いしている人に思い当たりませんか? 言葉づかいも変えないといけない、と思い込んでいる人が多いですね。本来は、急に上から目線になったり、命令口調になったりする必要はありません。普通に話せばいい。言葉使いを変えないといけないと思う人というのは、もともと対人関係を「他者を支配する縦の関係」だと捉えています。「対等な横の関係」だと捉えている人は、昇進したからといって態度を変えるはずがない。これはひとつのチェックポイントですね。自分自身に何か変化が起こっていないか、客観的に見てみましょう。

――― 昇進して変わってしまうのは、「上司たるものこうあらなければいけない」と言う思い込みもある気がします。

そうですね。上司と部下は、対等ですが同じではない。責任の量は多いし、知識も経験も豊富であらねばならない。部下から間違いを指摘されてばかりではいけないので、研鑽に励むことは大切です。そういう意味では、上司とはかくあるべきと思うことが悪いわけではありません。

――― 役職を得て、どこか偉そうな態度や強い口調が出てきてしまうのは、なぜでしょう。

自信がないからですね。自信のある人は、普通でいられる。一方、このままでは部下に無能であることを見透かされるんじゃないかという人は、普通にしているとバカにされるのではないかと思う。劣等感の表れですね。

――― 劣等感に打ち克つためには、自分の知恵や実行力を強化する必要がありますね。

それがまずひとつですね。あとはリーダーがどういうものか、自覚する必要があります。リーダーの仕事は「自分がやる」のではなく、「部下が動けるように割り振る」こと。たとえば、部下が作った資料が気に入らないとき。締切があるから自分で書き直すというようなことをしていたら、部下の力がつきません。どちらが難しいかといえば、自分が動くほうが楽でしょう。それでも、部下に任せる勇気をもつ必要がある。

嫌われる勇気表紙

――― 人に任せる勇気がなくて、自分の仕事を増やしてしまう経験は身に覚えがありますね。もし任せられるようになったとして、懸念点としては、「上司は部下にやらせるばかり。自分は何もやっていないのに」という不満が出てこないかということなのですが…

それは、部下の課題ですね。同じ上司に対して「私たちをすごく自由にさせてくれるいい上司だ」と思う人もいるはず。「部下にやらせるばかり」という不満は、その部下が何か別の課題を抱えているから。積極的に仕事に取り組めないことの口実にして、言い訳をしているのかもしれない。煩わされる必要はないと思います。

 

【第2回】ミスをしたときこそ、部下を守れるか
【第3回】「本気出してないだけ」の後輩は、ほめず、叱らず伸ばす
【第4回】出世した女性が、男性のように振る舞う必要はない
【第5回】「仕事が忙しいからできない」の嘘。豊かな人生に欠かせない3つのタスク

 

ついに200万部突破! 現代を生きる「勇気」をくれる2部作
■『嫌われる勇気』(岸見一郎、古賀史健 著)
嫌われる勇気表紙

ダイヤモンド社/1,500円(税別)


■『幸せになる勇気』(岸見一郎、古賀史健 著)
幸せになる勇気表紙

ダイヤモンド社/1,500円(税別)

なぜ、あなたはいつまでも変われないのか?なぜ、あなたは劣等感を克服できないのか?なぜ、あなたは幸せを実感できないのか?なぜ、あなたは過去にとらわれてしまうのか?―アドラーの幸福論がすべての悩みに答えを出します。フロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」と称されるアルフレッド・アドラーの思想(アドラー心理学)を、「青年と哲人の対話」という物語形式で紹介。欧米で絶大な支持を誇るアドラー心理学は、「どうすれば人は幸せに生きることができるか」という哲学的な問いに、きわめてシンプルかつ具体的な“答え”を提示する。この世界のひとつの真理とも言うべき、アドラーの「幸福論」はほかの誰でもないあなたが、あなたらしく生きていくためのヒントを与えてくれます。

◆プロフィール
岸見一郎(きしみ・いちろう)
哲学者。1956年京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学。専門の哲学(西洋古代哲学、特にプラトン哲学)と並行して、1989年からアドラー心理学を研究。精力的にアドラー心理学や古代哲学の執筆・講演活動、そして精神科医院などで多くの「青年」のカウンセリングを行う。日本アドラー心理学会認定カウンセラー・顧問。著書に『アドラー心理学入門』『幸福の哲学』など。

 

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撮影/石田祥平 構成/佐藤久美子

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