近年、日本はちょっとしたミュージカルブームだ。

ドラマ『下町ロケット』でブレイクした山崎育三郎さんやミュージカル界のプリンス・井上芳雄さん、歌姫・新妻聖子さんらミュージカル俳優たちの人気はうなぎ上り。ミュージカルに挑戦する俳優も増えてきた。

EW0001:Sebastian(Ryan Gosling)and Mia(Emma Stone)in LA LA LAND. © 2016 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

アカデミー賞を総ナメ!実力派ぞろいの俳優・スタッフ

そんななか、久しぶりに登場した本格的ミュージカル映画が『ラ・ラ・ランド』だ。

ハリウッド女優を目指すミア(エマ・ストーン)とジャズピアニストのセバスチャン(ライアン・ゴズリング)のロマンスを描いた王道ラブストーリー。ふたりが歌う喜びや悲しみにしっかり心を揺さぶられる。

『雨に唄えば』や『シェルブールの雨傘』など往年の名作ミュージカルの数々を彷彿させる仕掛けもたっぷりで、懐かしささえ漂う。これがまた、気持ちを盛り上げてくれる。

EW0001:Sebastian(Ryan Gosling)and Mia(Emma Stone)in LA LA LAND. © 2016 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

冒頭から驚きのダンスと歌のパフォーマンスで観る者を圧倒する。なにしろロサンゼルスの渋滞中の高速道路で歌い踊りだすのだから。

主演のストーンは『アメイジング・スパイダーマン』や『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』などに出演してきた若手人気女優。舞台にも立っているだけあって、歌も踊りもバッチリ決まっている。

もうひとりの主人公を演じるのは、『きみに読む物語』で日本でも一躍人気者となったゴズリングだ。ピアノは初挑戦にもかかわらず、全部吹き替えなしで弾いているという。ふたりの演技を見ながら、改めてハリウッド俳優の実力を思い知らされた。

俳優だけでなく、監督にも驚いた。アカデミー賞でも話題となった鬼教師の狂気を描いた『セッション』のデイミアン・チャゼルとは。本作の企画は『セッション』よりも前に練っていたらしいが、こんなにゴージャスで切ないロマンスを描く人だったとは!

音楽に明るいのは間違いない。まだ32歳という若さだけにこれからの作品が楽しみだ。

最後に、この映画を観終わったあとの数日間は、若かりしころの切ない恋を思い出し、じんわりとその余韻に浸っていたことを告白しておきます。

ラ・ラ・ランド』

売れない女優とジャズピアニストの恋を描いたミュージカル映画。エマ・ストーンの主演女優賞、デイミアン・チャゼルの監督賞をはじめ、本年度のアカデミー賞で最多となる6部門を受賞。

監督:デイミアン・チャゼル、出演:ライアン・ゴズリング、エマ・ストーンほか。

TOHOシネマズみゆき座ほか全国公開中

http://gaga.ne.jp/lalaland/sp.html

この記事の執筆者
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坂口さゆりさん ライター
2017.12.4 更新
生命保険会社のOLから編集者を経て、1995年からフリーランスライターに。映画をはじめ、芸能記事や人物インタビューを中心に執筆活動を行う。ミーハー視点で俳優記事を執筆することも多い。最近いちばんの興味は健康&美容。自身を実験台に体にイイコト試験中。主な媒体に『AERA』『週刊朝日』『朝日新聞』など。著書に『バラバの妻として』『佐川萌え』ほか。 好きなもの:温泉、銭湯、ルッコラ、トマト、イチゴ、桃、シャンパン、日本酒、豆腐、京都、聖書、アロマオイル、マッサージ、睡眠、クラシックバレエ、夏目漱石『門』、花見、チーズケーキ、『ゴッドファーザー』、『ギルバート・グレイプ』、海、田園風景、手紙、万年筆、カード、ぽち袋、鍛えられた筋肉
クレジット :
文/坂口さゆり